一言で言ってしまえば「防げる病気は防ぎたいから」です。
病気を防いで、病院の受診を減らし、健康保険の国庫拠出を少しでも減らしたいからです。

「政令で定められている予防接種」「海外渡航に伴う予防接種(渡航地に合わせて選択)」

予防接種に公費を投入することを無駄!と言う意見のブログを時々見ます。
循環器学会所属のある医者が、「子宮頸がんワクチンの予防接種は効果なし」と発言した事。
前橋医師会の「インフルエンザワクチン効果なし」の検証結果等…。

まあ、その前述の循環器医には面頭向かって「もう一度疫学勉強してこい!」と多数に言われてましたね。
そして、北米の大規模臨床試験できちんと結果も検証され、効果も確認されてます。
※当たり前ですが、既に性交経験があり、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)に感染している可能性がある被験者に接種しても効果が見られない事は初めからわかっています。→まあここも検証はしてます。

だから、性交経験前の12歳~16歳に限定して定期接種化してます。
(まず…ここ抑えてくださいね)

後述「インフルエンザワクチン」
これは変異が早い事は、医療関係者なら誰もが知っていることで、「何故変異してもワクチンを接種するか」を説明する必要があります。
以前から、インフルエンザのワクチンに関しては、「発症させない」ではなく「重症化させない」が目的である事はずっと言われてます。
確かにインフルエンザウイルスの変異する速度は速いです。
が…微妙に変わって行くので効果がゼロと言う結論にはならないのです。

最初の目的に戻りますが、「重症化を避ける」これが目的ですので、この目的は達しています。

重症化すると当然治癒までの時間が長くなります。その間感染機会を増やす事になります。
ですから「重症化させない」と言う意味でインフルエンザのワクチンは目的をきちんと果たしているのです。

※ちなみに当院では、インフルエンザの接種はかかりつけの病院でお願いしていますので、原則行っておりません。(ただし当院が主治となっている患者さんのみに接種を行ってます)

それから、ワクチンは医療機関は反ワクチン論者の方が言うほど医療機関には利益はありません。
「1000円で仕入れたワクチンを3000円で」と言う記事を見ましたが、その利益率…普通です。
街の小売りに当てはめてみましょう。
一番利益が高いのがアイスクリームと言われています、ただ何故アイスクリームの利益率が高いかと言うと、理由がきちんとあります。
巨大な冷蔵庫を使い1月に30万円近い電気代を払って冷蔵庫を閉店後も動かして保管しながら販売します。
そこの人件費、お店の維持費を考えて見て下さい普通です。

その他、コンビニが何故ファーストフードを積極的に売るか?。
これも利益率がとても高いからです。ですがこれらの商品は廃棄率(販売期限切れ)が異常にに高い特徴があります。

ワクチンも返品出来ません。使用期限が切れれば容赦なく廃棄されます。
それは、製薬会社、医療機関共にです。
ワクチンはその性質上作り出すのに時間を要します。つまり製薬会社も医療機関も一定の在庫を抱えなくてはいけないリスクを持ってます。
製薬会社で出荷すらされずに廃棄されるワクチンの数を考えると、私は他の流通品と比べても妥当な利益率と思います。

病院も製薬会社もボランティアではありません。
利益無ければ経営できません。職員のお給料も病院の維持も出来ません。

それを考えてものを言って欲しいものです。

物流の仕組み…
いいですか!。
物流には必ず輸送、保管と言う事が絡みます。
生産されたものは一旦倉庫的に保管されます。→ここでコストかかってます。
ものが動く事には全てお金がかかって経済のインフラは動きます。
だからたとえ安価で出来たものであっても、これらに携わる全ての労働者の為に利益と言うのは必要なんです。
10円で売られているうまい棒にも涙ぐましい物流コストの低減をしながら、それらに携わる労働者の利益があるんです。

利益率が高い=儲かる…そんな甘くないんです。それが物流の仕組みです。

点だけでものを見るその怖さ。

全てが繋がっている事をすこしわかって欲しいです。

夜の深夜に、どこかの運送屋さんの倉庫であなたが寝ている間に、荷物を仕分けして、あなたの職場に荷物を届けてくれる人がいる。
その中には明日の誰かの為に運ばれている医薬品もあります。

振動に弱い医薬品類は、専用の装備をしたトラックで運ばれます。
このトラックも普通のトラックより価格が高くなります。

そう言ったもの全てを含めてコストと言います。
そして、それらに携わる人々が全て幸せになれなければならない。その為の利益です。

みんなが寝ている間に働くひと、そこにお金が還元されなければやりたく無いと思います。
経済の全体、物流の仕組み、色々な事を考えてもの言いましょうね。

しかも病院は、保険証が使える医療費の報酬を自由診療以外は独自で設定出来ません。(国が決めてます)
どんなにたくさん患者さんを診察しても医療者の給料は変わりません。

だから、お門違いな陰謀論は止めて欲しいです。

「防げる病気は防ぎたいから」
ワクチンを推進してるのであって利益は…そこまでおかしな利益ではな事。

病院を事業として運用するのに適正な金額しか求めていない事。
ここはわかって欲しいです。

あの…医療者同士のEvidenceの論争は学会でやろう。
はっきり断言出来ない検証しきれてない狭い結果の数字は要らないから。
きちんと科学的根拠を画一させてから発表しよう。
そうじゃなきゃ市中は混乱するよね。

あと、某医療ジャーナリスト…。
いい加減TVや適当な本出してないで、臨床資格を一つでも取ってからものを言え。
医者や看護師、病院に関わり働く人間がどんな気持ちで日々患者と接しているか、少し考えて欲しい。
あのね…、医療機関で働く選択に人生の舵を切ることは、きみが考えている以上に強い決心と熱意があるんだよね。
そんな医療従事者の気持ちを土足で踏みにじらないで欲しいんだ。
みんなそれぞれのポジションで、役割持って必死に患者と向かい合ってる。
介護施設でも、職員が日々利用者と全力で向かい合ってる。

それを軽く批判しないで欲しい。全員が全員真剣なんだよ。
陽の当たらない場所で、がむしゃらに患者の為にだけを考えて、寝ずに家族に理解をしてもらい、協力を得て初めて成立してるんです。

あなたに家庭があるように、みんな守るべき家庭や人がいる。

良く考えてくれないかな…。

病院はボランティアじゃないからね。でもみんなこの仕事好きでやってるんです。
誇りもってます。

だから発言考えて欲しい。

…と、思いを綴ってみました。。。ちゃんちゃん(笑)。